2012年4月19日木曜日

遺産分割調停は大変です!

1 申立時の留意点
① 当事者
遺産分割調停事件の当事者は、共同相続人全員です。住所が判明している一部の相続人だけを相手方にすることはできません。相続人が大勢いて、一部の相続人とは音信不通になっているので住所が分からないというケースも少なくありませんが、その場合には、住所が分からない人の戸籍の附票を取り寄せます。戸籍の附票には住民登録された住所がすべて記載されていますから、これにより最後の住所が判明します。

② 管轄裁判所
遺産分割調停の管轄裁判所は、相手方の住所地の家庭裁判所です。例えば、あなたが仙台在住で他の相続人が全員東京在住の場合には、東京家庭裁判所が管轄裁判所となります。他の相続人の中に一人でも仙台在住の方がいれば、仙台家庭裁判所に申立することができます。 


③ 財産目録
調停申立書には財産目録を付けなければなりません。ただ全ての遺産を記載することができない場合には、不動産など知っている財産だけを記載し、「その余は、不詳」と書いておけば大丈夫です。

④ 申立費用
被相続人1名につき収入印紙1200円と郵便切手が当事者1名につき560円(仙台家庭裁判所の場合)です。

⑤ 弁護士を依頼すべきか否か
調停は話合いの手続ですから弁護士を頼まず、自分ですることは可能です。ただ調停申立をする場合には、被相続人及び相続人全員の戸籍謄本などをすべてそろえなければなりません。これが実は、すごく大変なのです。しかも調停が始まると遺留分や寄与分といった法律的問題について主張をしなければならない場合もでてきます。やはり弁護士を依頼された方がいいでしょう。弁護士費用は、遺産額によって決められますが、遺産額の評価方法や遺産額の何%を着手金額とするかは、弁護士によって千差万別ですが、日弁連の統計によると次のようになっています。

30万円前後   29.7%
50万円前後   44.1%
70万円前後    9.2%

2 調停の進め方
調停には、調停員2名が立会い、当事者から事情を聴き、話合いによる解決を目指します。当事者の数にもよりますが、2時間位かかるのが一般的です。調停期日は、大体1か月に1回の割合で定められます。

被相続人の面倒を見ていた一部の相続人が遺産を管理していて、他の相続人には遺産を隠すことも少なくありません。この場合、他の相続人が遺産の開示を求めたり、独自に遺産の調査をしたりするのですが、どうしても時間がかかります。遺産の全貌が明らかになるまでに1年以上かかるというケースも少なくありません。遺産分割調停は時間がかかると思って間違いありません。中には10年位かかるケースもあるのです。




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